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2017年3月 ALBUM 8

2017 music

●やや早めですが3月のベストアルバムです(次回分は3月下旬から4月分で選びます)。

●今回は8作でやや多めです。電子音楽中心のセレクトなりました。

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Donato Epiro『Rubisco』(Loopy

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●殺伐とした感触のミュージック・コンクレート的アンビエントの傑作。廃墟のようなアンビエンス/アンビエントが、とにかく心地よい。ヒトのいない世界の安らぎ。

https://boomkat.com/products/rubisco
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Eryck Abecassis & Francisco Meirino『La Gueule Du Loup』(Fragment Factory)

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●生成と切断を繰り返し、反復と逸脱が音の快楽を生む。音響/ノイズ・マニアたちのスターである二人の個性がギリギリでせめぎ合う刺激的なサウンドが堪らない。なんと INA-GRM録音。
https://soundcloud.com/franciscomeirino/francisco-meirino-eryck-abecassis-la-gueule-du-loup-extract
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Hecker『A Script For Machine Synthesis』(Editions Mego

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●ヘッカー、待望の新作。これまでどおり、計算とグリッチ、言語と音響、逸脱と均衡、両極を往復するサウンド/アートとしてのアルバム。現代思想の最前線ともリンクする。
https://editionsmego.bandcamp.com/album/a-script-for-machine-synthesis
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Evan Caminiti『Toxic City Music』(Dust Editions)

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●こちらも待望の新作。モノクロの霧のような、どこか不思議なアンビエント・サウンド。都市のすき間に生成する時間が浮遊するような感覚を覚えた。
https://dust-editions.bandcamp.com/album/toxic-city-music
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Kassel Jaeger & Jim O’Rourke『Wakes on Cerulean』(Editions Mego

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音響工学詩人とでも称したいKassel Jaegerと、あのJim O’Rourkeのコラボレーション作品。地中海的ともいえる音響空間が生成しており、思わず引き込まれてしまう。
https://editionsmego.bandcamp.com/album/wakes-on-cerulean
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Maurizio Bianchi / Abul Mogard 『Nervous Hydra / All This Has Passed Forever』(Ecstatic)

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セルビアの金属工場定年退職後にインダストリアルなドローン作品を作り出したというAbul MogardとMaurizio Bianchiのスプリット作品。これぞリアル・インダストリアル。
https://ecstaticrecordings.bandcamp.com/album/nervous-hydra-all-this-has-passed-forever
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shotahirama『Conceptual Crap』(スローダウン Records)

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●全6作、完結。特例で全6作でひとつの作品としてセレクト。新しいビート・ミュージック。EP6作でひとつの流れになっており、shotahiramaの「次」への過程も感じさせる。実にスリリングなシリーズ。
https://soundcloud.com/shotahirama/conceptual-crap-vol1-6-shortpreview
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Lusine『Sensorimotor』(Ghostly International/Plancha)

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●メランコリックでエレガントなエレクトロニカ。細やかで艶やかな音/ビートに、ボーカルを多数導入され、都市や街の光景と重なるような情景的なエレクトロニック・サウンドを展開している。
https://soundcloud.com/ghostly/lusine-just-a-cloud-feat-vilja-larjosto-1

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2017年2月 ALBUM 5

2017 music

●2017年2月に聴いた月間ベスト・アルバム(2月リリース作品というわけではありません)。今回は5作。

●2月はとても辛く、暗く、重い月に思えます。そもそも短いし。春の直前の重苦。音楽によって救われることはないのですが、それでも音楽によって少しだけ重力が軽く感覚もあります。重力とは、そこに鳴っていない音楽を聴きとったとき、浮遊するように思えます。そんな5作です。

●今月は「演奏」がカギとなる作品が多くなった気がします。むろん、偶然ですが…。
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Colin Vallon Trio『Danse』(ECM)

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●硬い響き、澄んだ和声にはジャズのコード感は希薄。その和声が反復されていくなかで、Colin Vallon が弾いている/聴いている和声の向こうにはもう一つの(一つ以上の)メロディがあり、彼はそれも聴いている。音楽は鳴っていない旋律を共有することで、ベースとドラムスによるリズムの分割行われていくことになる。

https://www.ecmrecords.com/catalogue/1478864419/danse-colin-vallon-trio

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Craig Taborn『Daylight Ghosts』(ECM)

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●アフリカのリズムをECM的、つまりはヨーロッパ的な響きでコーティングし、その音楽自体はNYのリアルであったとき、そこにある音楽は越境的か否か。近年のECMにはこのアフリカン・リズム/NY的エクレクティズム/ヨーロッパ的静寂=残響の混合物として存在するとき、そのような、ある種の緊張感を生むことが多いように思う。本作もまた同様で、複雑なポリリズムの聴感上の落とし所、つまり音響的質感(ミックスも含めて)をどこに設定すればよいのは端正に吟味したうえで成立している。それは先のColin Vallon Trioについても同様だろう。演奏・音楽の素晴らしさは前提として、録音作品としての精度を上げていくこと。その熟練が緊張と結びついている。今のECMはエクレクティックなレーベルといえる。

https://www.ecmrecords.com/catalogue/1480414502/daylight-ghosts-craig-taborn
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The Necks『Unfold』(Ideologic Organ)

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●清流のような音を演奏によって生成する。即興とも作曲とも違う楽曲は持続しないドローンのような空気感を漂わす。朝霧のような音楽・演奏・音響。これは「ジャズ」ではない。演奏によって生まれる鳴っていない、もうひとつの「持続」の生成だ。

https://ideologicorgan.bandcamp.com/album/unfold

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Simon Fisher Turner『Giraffe』(Editions MEGO

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デレク・ジャーマンの『BLUE』は映像が限りなくゼロ地点になったとき音響はどのような存在になるのかを実験してみせた「映画」であったと思う。「映画」である以上、イメージはある。あの「青」だ。視力の衰え。自身の死。そして音/音楽。この映画を作ったときジャーマンはどのようにディレクションをしていたのか。どのような言葉や身ぶりを発していたのか。それを知っている数少ないアーティストがジャーマンの音楽を多く担当したサイモン・フィッシャー・ターナーだろう。このアルバムはそのサイモン・フィッシャー・ターナーだが、音響の持っているイメージ/非イメージを喚起させる力がとても強い。旅のような音響アルバムであり、その意味でスタイルは違えど、昨年リリースのスティーブ・ジャンセンのアルバムを想起した。

https://editionsmego.bandcamp.com/album/giraffe

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Michael Pisaro『Resting In A Fold Of The Fog』(Potlatch)

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●静寂ドローンのほんの少しの逸脱を聴くことができる。ピサロ作品としては良いのか悪いのかは微妙だがその微妙さがかえって音の存在感を際立たせる。トリオによる演奏で次第に音の輪郭線が明確になっていくような音の持続を聴くことができる。

https://www.youtube.com/watch?v=tVyuVo_AKI8&feature=youtu.be

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2017年1月 ALBUM 6

2017 music

●2017年はこのブログに月刊でその月に聴いたアルバム(で良かった作品)をアップしていこうと思います。年間とおして(12カ月)で「年間ベスト」(の候補)が自動的に出来上がるという考えです。これは数年前のブログでもやっていた方針ですが、聴いた作品をリストアップしておくのに効果的なのですね。昨年2016年)は、聴いたごとにランダムにアップしていったのですが、ちょっと整理し切れなくなったので。やはり「選ぶ」という行為は大切で、自分にとっては、この月刊ベストは「選ぶこと」の練習のようなものかもしれません。

●今月は6作ですが、月ごとに作品(アルバム)数は固定しません。1作品のみということもあるかもしれません。これもまた「選ぶことの練習」と(笑)、自分では思っています。

●カテゴリは「2017 music」で、そのほか突発的に更新したいときは別のカテゴリにしたいと思います。

(2017年2月7日追記)

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Emptyset『Borders』(Thrill Jockey

●新作はThrill Jockeyから。マテリアルな生成によって生まれたハードコアな電子音響。ノイズと律動の炸裂。

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William Basinski『A Shadow In Time』(2062,TEMPORARY RESIDENCE)

アンビエント/ドローンの達人の新作は、デヴィッド・ボウイに捧げられたテープ・ループ・レクイエム。美しく、儚く、壊れそうな脆さ。 

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Víkingur Ólafsson『Philip Glass:Piano Works』(Deutsche Grammophon)

●21世紀のフィリップ・グラス。明晰なピアニズムと録音。クリスタル。配信版にはCFCFのリミックスも。これが重要と思う。

www.deutschegrammophon.com

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Jesse Osborne-Lanthier『Unalloyed, Unlicensed, All Night!』(raster-noton

●新作はraster-notonから。ライブ2時間前に制作された電子音パルスの衝動。電子音の律動的オブジェクト。

www.raster-noton.net

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UnicaZurn『Transpandorem』(touch)

touch2017年最初の作品。多層的にレイヤーされる海のような海岸にある残骸のようなシンセ・ドローン。

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Kevin Drumm『Elapsed Time』(Sonoris)

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●Kevin Drumm、近年のハードコアドローンの集大成。

Sonoris :: home

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